元写真家の理子奈は、大地の子育てに追われる毎日を過ごしている。東北の被災地出身の彼女は、震災で家族が離散した過去があった。だからこそか、自分の理想的な家族を作ることに執着しているが、夫とぶつかり、噛み合わない日々が続いていた。そんな折、父親のように慕って師事していた写真家の浩志が、緊迫した情勢のベラルーシに難民取材に行くと連絡が入る。父親を失うような気持ちでいる最中、知久が浮気をしていることを知る理子奈。苦悩のなかで、本当に自分がすべきことは何かと自問しながら、やがて、彼女は東北の被災地へ車を走らせていく。
岩崎孝正