第二次世界大戦末期、連合軍はイギリス空爆の報復として敵国ナチ・ドイツへ「絨毯爆撃」を行った。連合軍の「戦略爆撃調査報告書」によるとイギリス空軍だけで40万の爆撃機がドイツの131都市に100万トンの爆弾を投下し、350万軒の住居が破壊され、60万人近くの一般市民が犠牲となったとされる。技術革新と生産力の向上によって増強された軍事力で罪のない一般市民を襲った人類史上最大規模の大量破壊を描く。人間の想像を遥かに超えた圧倒的な破壊を前に想起する⼼をへし折られた当時のドイツ⽂学者たちと、ナチ・ドイツの犯罪と敗戦国としての贖罪意識によってこの空襲の罪と責任について戦後⻑い間公の場で議論することが出来なかった社会について考察するドイツ⼈作家 W.G.ゼーバルトの「空襲と⽂学」へのアンサー的作品。
セルゲイ・ロズニツァ