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【ネタバレあり】「シスターズ」“ながら見”させない!? 怒涛のサスペンスを紐解く8つのキーワード

「若草物語」を現代韓国版にアレンジ?「青いラン」「情蘭会」から「チェ・ドイル」まで、韓国ドラマ「シスターズ」を紐解くキーワード

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6:「情蘭会」表の顔と裏の顔


サンアがインジュにランを渡す際、子どもの頃の夢を尋ねている。「お金持ちと結婚すること」と答えたインジュに、上の妹インギョンは“記者”、下の妹イネは“画家”なのにねと笑いながら、自分の力でお金持ちになりたいはず、との言葉とともにランを授けるのだ。

さらに、「最愛の娘なのに、父が私にくれたのはランだけだった」とインジュに話すサンア。そのランは将軍の木がないと育たないため、「あなたの夢のランは私たちが育てる」と言う。その“私たち”が国際ラン協会、別名“情蘭(チョンナン)会”。

一方、インギョンが大おばヘソクの昔の写真を復元してみると、そこにはヘソクを含む14人の大人と1人の少年の姿が写り、裏には「73年3月5日 情蘭会」と記されていた。ウォン・ギソン将軍を中心としたベトナム戦争の特殊部隊の生き残りで、青いランを媒介にしてつながる情蘭会が後にウォルリョン学校となる土地を手に入れた記念の日だ。

そのメンバーはパク・ジェサンの父で将軍の運転手パク・イルボク、チャン・サピョン校長、軍事機密を流した不動産投機で告発されたコ・ジュウォン軍属、自殺したポベ貯蓄銀行のキム・ダルス頭取、さらに聖ベネディクト病院の前身ソンジン福祉院のシム・ジェスン院長、強制撤去を行っていたチャンウン開発代表のチャン・ウンソン、そして自動車事故に遭ったオーキッド建設取締役シン・ヒョンミンらで、将軍とチャン校長以外、全員がすでに亡くなっている。

情蘭会のルールは、たった2つ。<・情蘭会に己の生死を預ける ・許された者以外に口外しない>。表向きは、ウォルリョン学校やパク・ジェサン財団のように、能力がありながらも経済的困難から夢を諦めざるを得ない“どん底の人間”を最も高いところまで引き上げる、という立派な理念を掲げているが、裏では私学汚職、不動産投機、矯正施設など、インギョンが「70~80年代史のダイジェストね」と言うように急ピッチで近代化する社会で暗躍していた者ばかり。

さらに、OBNでインギョンの飲酒を告発したり、パク・ジェサン陣営の報道をしていたチャン・マリ記者(コン・ミンジョン)はウォルリョン学校の卒業生で、インギョンを“誰にも屈するな。真実を追求しろ”“歴史と大衆の前で正しくあれ”と叱咤激励してきたチョ部長(チョ・スンヨン)も情蘭会の一員だった。

財界、教育界、メディアから今度は政界へ。情蘭会が秘かに戦争を続け、国家を牛耳ろうとする組織だったことがよく分かる。将軍が意識不明のいま、パク・ジェサンが後継者と見られたが、実際はサンアが自らの欲望と歪んだ愛のために夫を操っていたようなもの。しかし、兄サンウが命を賭けた隠し撮り映像でその本性が暴かれたことで、市長当選目前にも関わらず、サンアは死への切符=青いランを夫に渡すことになった。


7:ウォン・サンアの心の闇「閉ざされた部屋」


今作のオープニングクレジットには、逃げる3姉妹の前に立ちはだかるグリーンのマニキュアをした女性の手などとともに、「閉ざされた部屋」が描かれていた。情蘭会の“活動”に賛同できなかったサンアの母は、将軍によって2922日間、約8年もの間、屋敷内の窓や扉のない部屋に幽閉されていたのだ。9歳のときから孤独に育ってきたサンアは、8年後に誤って母を死なせてしまう。

ニューヨーク演劇学校で学んだサンアの卒業作品「閉ざされた部屋」は、まさにその部屋のミニチュアだ。亡くなった母に毛皮のコートを着せ、赤い靴を履かせて飾ったように、「閉ざされた部屋」のクローゼットの人形にも、そしてファヨンの前任者ヤン・ヒャンスクにも、ファヨンの身代わりとなった女性にも同じ格好をさせた。彼女たちの自宅アパートも「閉ざされた部屋」のようにサンアが装飾したのだろう。

屋根裏部屋でそのミニチュアを知り、さらに防犯カメラからファヨンを殺害したのはサンアだと知ってしまったイネとヒョリン。イネは、怪物のような両親といたら「何になるか分からない」とずっと考えていたというヒョリンと家を出ようとするが、サンアによって閉ざされた部屋に閉じ込められてしまった。2人はこの出来事が決定的となり、韓国を後にすることになる。

サンアが卒業制作で作ったミニチュア「閉ざされた部屋」には、「私はずっとここから出られない」とのメモがあった。24時間演技をしていたサンアだが、オ・ヘソクの葬儀でインジュに語った言葉には本音が見え隠れする。母の死は娘ヒョリンやイネと同じ年のころ。ヘソクに「(衝撃的な)その場面を理解できず、受け入れられなければ、扉を閉めて生きていきなさい」と言われたことは、実際に彼女の拠り所となっていたはず。

自作の舞台で自作のキャラクターを殺すのは、いわば、サンアなりの歪みきった箱庭療法だったのだろう。罪の意識に耐えきれず、実父であるウォン・ギソン将軍を横領と背任で告訴した兄サンウも、母とよく似ていたとサンアは言う。そんなサンウは夫パク・ジェソンに殺され、ジェソンも情蘭会を守るため自死した。愛娘も去っていった。

本当の天外孤独になったサンアが最後に描いたシナリオは、父とチャン校長、ファヨンとインジェ、さらに自分自身と青いラン、つまり情蘭会を秘密の温室ごと滅ぼすことだった。闇の中にあまりにも深く沈んでしまったサンアは、情蘭会の最大の犠牲者といえるかもしれない。


8:「チェ・ドイル」とは一体、何者?


「君の一番の魅力は、本気で信じ込むこと」とインジュに話したチェ・ドイル。ファヨンとは欧州法人で仕事をしていたという財務本部長。要は、資金洗浄のスペシャリストだ。ファヨンとは似ていて、同じ道徳律を持っているから友達になれたと話す。この世でお金ほど神聖なものはなく、またお金ほど悪魔のように人を狂わせるものはないという相反する価値観を理解し合っていたのだろう。インジュの話から、ファヨンが母を亡くした4年前からこの計画を練っていたことにすぐにピンときていた。

情蘭会のせいで母アン・ソヨン(ナム・ギエ)が受刑者となり、孤独な少年時代を過ごした彼の哲学は、父チェ・ヒジェ(キム・ミョンス)やパク・ジェサンらとは違い、非暴力だ(ケンカは強いが)。「もう少し安全で品のいい方法もあるのに、なぜ人は命を賭けて復讐するのか」と疑問に思っている。事故死に見せかけて元恋人を別人に生まれ変わらせたように、その手のことが主分野らしい。インジュにもギリシアのアンドロス島などを紹介している。

「僕が信じられない?」とインジュに尋ねたこともあるが、彼はパク・ジェサンから信頼を得ていた上に、サンアがシンガポールで「あの詐欺師を信じてるの?」と仕返しのように持ち出したりすると、インジュはすぐ揺らぐ。「書類にサインして」と言われれば、英語が読めなくても素直にサインしてしまう。そんな純粋さに彼は惹かれていたようだ。

パク・ジェサンはそんな恋心など抱くはずがないと500ウォン賭けていたが、コ室長(パク・ボギョン)は早くからそれを見抜いていた。シンガポールでは人々が思い描くオ・インジュになるために高価なドレスで着飾らせ、美しいピアスも用意した。また、インジェのために検察側の証人として出廷し、すべてはサンアらの指示であったと明らかにし、インジュを無罪にするきっかけを作った。

サンアに囚われたファヨン先輩のためにインジュが駆けつけると、チェ・ドイルもまた颯爽と現れた。インジュへの愛情を確信したコ室長に、「そう思うなら邪魔しちゃだめだろ」と言い放ったのは最終話の名シーン。それでも、インジュは別れ際の最後まで、彼の思いに気づいていないような素振り…。お金持ちで親切で、夢をすべて叶えてくれそうな人とは結ばれない。これからは、インジュが自分自身で夢を叶えていくのだから。

「シスターズ」はNetflixにて配信中。


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《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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