福谷市のはずれで暮らす鴉丸未宇は、朝の日課のダンスと、ちくわをつめたお昼の弁当が大好物。祖父・吾郎の介護をしている。市役所に勤めているが孤立している。ただひとり寄り添ってくれるのは、同じ役所につとめる先輩の間野幸次だけ。ある日、間野が市役所の屋上から自殺した。理不尽な「文書改ざん」を命じられた末の死だった。悲嘆に暮れて帰宅した未宇に、吾郎は衝撃のミッションをつげる。「仇をとるため、改ざん指示のデータを奪え」。そして、未宇はひそかに立ち上がる――。
入江悠